2009年8月31日 (月)

ウィキウィキ・ウェイク・ミー・アップ!w

出版社に勤めてるような人間はですね、百科事典みたいなものには憧れがあって、たとえば紙のブリタニカ英語版とか、全部家にあったらいいなとか思ってたわけですよ(置場はないが)。

しかし、最近は情報ソースとしての百科事典に対しては、「まったく」そんな願望はなくなりました(ちなみに、古い印刷の百科辞典とかは欲しいけど)。それはウェブ上に「正統的な情報」が現われたというより、「多様な情報」が現われたことによるところが大きいかもしれません。結局、最終的には「どのへんが無難か」というのを判断しやすくなったのだと思います。

ウィキペディアというのはそこにあらわれたウェブ情報のダイジェスト版のような存在だと思っています。細部まで正しいとは思えないし、不完全なことも多いが、ざっくりとしたところではこうだ、と。まあ、だいたいの用途に対してはこれで足りることが多いのも事実なので、重宝しているといっていいでしょう。

誰でもが好き勝手に書いたり直したりと、一見無秩序に思えるウィキペディアですが、その裏では驚くべきしくみがはたらいている、というところを明かすのがこの本、『ウィキペディア・レボリューション』です。


荒らしや論争にどのように対処するか、多言語化にどう対応するか、そもそもどうやってみんなに記事を書いてもらうか、といったことに実にいろいろな知恵が働いています。

個人的に大きな示唆を得たのは、ルールや承認プロセスが多いといっこうに記事が増えないが、タイトルだけでもいいからとにかく記事を書けば、そこからニョキニョキと記事が増殖していくという話。仕事でもそうだなあと思います。結局は創造の芽を摘まないこと、それを一人の責任でなく、得意な人がフォローしていくこと、これに尽きるのではないでしょうかね。

また、「できれば何事も投票で決めてはいけない」、というような指針も面白い。なんとなく多数決が民主主義だと習った気がするが、必ずしもそうでないことがあるのは、誰もが知っていることだものね。

権威主義に対する著者の反論として、Oxford English Dictionaryの編纂に貢献したウィリアム・チェスター・マイナーの例を挙げているのも面白い。早川書房的にも面白い。ぜひ、『博士と狂人』も合わせて読んでくださいな。


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