突然の訃報
栗本薫先生、お疲れ様でした。
安らかにお休みください。
栗本薫先生、お疲れ様でした。
安らかにお休みください。

会社帰りに行きつけの神保町Cafeヒナタヤでチキンカレー。これがスパイシーで美味い! そんなにカレーは好きではないのだけど、ここのカレーは周期的に食いたくなる。一日の疲れがふっとびます。ちなみにバッタリEIJのメンバーにも会ったりして、充実した放課後でした。

はい、新書の見本が出来ました。見本というのは、実際には問題なければこのまま商品となる本チャンの製品です。5月22日発売です!
新書のコンセプトについてはハヤカワ・オンラインのニュースのほうにまとめて書きましたので、長文ですがごらんください。
で、作品の第一弾はジェフ・ハウ『クラウド・ソーシング』とマルコ・イアコボーニ『ミラーニューロンの発見』の二つ。
クラウドソーシングってのは、いま流行のクラウド(cloud)のことではなくて群衆のほうのクラウド(crowd)。つまり、ウィキペディアとか、SETI@ホームとか、一人や一社ではできないことも、不特定多数の一般の人の力を借りれば質の上でも効率の面でも従来のやり方よりよくできる、という話。一番の売りは、この「クラウドソーシング」という言葉の生みの親であるハウが、自らいろいろな現場を歩いて、クラウドソーシングが成立する条件を検証している点かな。『ロングテール』のときもそうだったけど、「言葉の提唱者」の本というのは非常に面白くて、実用性はともかく(まあ、そんなものはコンサルタントか何かが研究すればいいさ)とにかく、その思いつきからいろんな夢のある未来を描こうするところです。その本質を新鮮なまま、濃厚なままお届けしようというのがこのハヤカワ新書juiceなのであります。
ミラーニューロンのほうも同じ。この研究の第一人者がその面白みを語った書です。ミラーニューロンってのは脳のなかで、他者の行動を見ていると無意識にマネしてしまうように差し向ける部位(超はしょった説明だが)。会議で腕を組んでいる人がいると、自分も無意識のうちに腕組みしてしまうって経験ありますよね。実はそれが人間や動物の生存や進化に大きな役割を果たしている、というお話。
なかなか面白い2作品ですから、ぜひ軽く読んでください!
ところで、juiceというネーミングですが、まあ格好つけすぎず、わかりやすく、新書のコンセプトを示したつもりなんですが、早川書房には、「川」つながりで、水や液体に関連する名前をつけるという伝統があり、それにも実は則っているんですね~。会社の下のフレンチ・レストランは「リヴィエール(フランス語で川)」、10年くらい前に出していたノンフィクションの叢書は「リバーサイド・プレス」とかね。先代の社長、今の社長の名前にさえ、サンズイがかかせないわけです。でも、まあ会社でjuiceという名前の汁っ気に気づいている人はあんまりいないかもしれませんが……。
米国アマゾンでは、何年か前からKindleという電子書籍リーダーを売っている。通常版が$359、DX(ちょっと大きい)が$489。なかなかいい値段だが、日本で出たらぜひ買いたいものの一つ。本棚はスッキリするし、新聞とかこれで読めたら便利。
しかしそう簡単には日本では出ないだろう。なぜなら読書端末はことごとく失敗しているからだ。理由はいろいろあるとは思うが、出版社の立場からすると、早い話が「電子書籍は壊滅的に売れない」のである。
ハードが売れない話をしてもしょうがないので、出版社側からのことを考えてみる。
Kindle版の書籍の価格はだいたい$9.99均一。日本円だと1000円くらい。一冊売れたときに出版社にどのくらい入るのか知らないが、アマゾンの発表によると、紙の本が10000冊売れるとKindle版が3500部売れる計算なのだそうだ。(http://www.techcrunch.com/2009/05/06/for-books-available-on-kindle-sales-are-now-tracking-at-35-percent-of-print-sales/)
しかし、ですね。いま、日本の単行本(まあ、値段は1500-2000円くらいとして)で10000部売れる本がどれだけあるのか。本当の零細出版社は別にしても、大中規模出版社のオールジャンルの単行本の平均印刷部数って多くても6000部くらいなんじゃないの? ということは実売で4000-5000部。仮にi日本版Kindleが出たとして、その35%、1500ダウンロードくらい売れたとすれば、アマゾンの売り上げは1500×1000円=150万円。このうちどれくらいが出版社の取り分になるかが問題なわけだけど、多めに見積もって70%もらえたとして、100万ちょっと。そこから著者印税を支払い、制作費を支払い……としていくと、まあ利益はほとんど残らない。ましてや、これは実際にはかなり売れた場合のことだし、また収入はゆっくり、支出は早急に、ということになるので、だいたいの場合は資金繰り乙、という計算になるはず(たぶんね、たぶん)。
ちなみに、翻訳ものについては、海外の権利者に対して印税前払いの制度があるから(この前払い金の額が、ざっくりいえば契約金みたいなものになる)、マイナススタートは必至。ましてや、このほか翻訳料も発生する。というか、現状では電子版の版権はまだ売ってくれないことが多い(著作権フリー以外の翻訳ものの電子書籍って見たことないでしょ?)。
じゃあ、日本で電子書籍を普及させるにはどうすればいいのか。いくつか思いつくことを書いてみる。
1.著者と出版社と読者は、縦書きとかルビとか難しい漢字とか諦めて(意外と抵抗多いと思う)、なるだけ単純なフォーマットで我慢する(制作費を抑えるため)。
2.オープンソースで電子書籍リーダーを開発(メーカーの縦割りに出版社が対応しきれないため)。メーカーには国の補助金(←こういうのでもないと、もはやメーカーはやる気ないんじゃないかと思う)。あとやっぱ、端末高いとダメだね。
3.出版社のバックオフィスの電子化もしくは外注。たぶん、小口の金がちゃりんちゃりんと入ってくるのを、また個別の著者にちゃりんちゃりんと支払うようには、出版社のバックオフィスはできていない。著者への売り上げの報告もウェブ上だけでするとかしないと、経費ばかりかかる。また、電子ブック書店が違っても同じような処理ができるように、電子ブック書店間での取り決めも必須。
うーん、どれをとっても前途多難。
うーん、まさに、「僕の好きなおじさん」が逝ってしまった。
忌野清志郎、R.I.P。
むろん世代的にRCサクセションのフォークロックバリバリ全盛の頃をリアルタイムで知っているわけではないのだが、僕が中学くらいのときに、当時からタイマーズ(大麻が吸いたい、みたいな曲で問題になったような気がする)とか、有名曲のカバーと訳詞で販売取りやめ(?)になったアルバム『COVERS』で話題になっていたなぁ。というか、当時はどっちかというとそういう政治的な印象のほうが強かった。その前だと、三菱ミラージュの宣伝に出てた(出てたよね?)、変な化粧したおにいさんさんのインパクトしかなかった。ベイベー、逃げるんだぁ!
しかし、高校のときにラジオで「シュー」を聞いてRCに開眼(うーごーのしゅー!と連呼する歌…)。ベスト版2枚を買って聞いて以来、「ドカドカうるさいR&Rバンド」とかよりもちょっと古めな70年代の曲のほうが好きになった。ストーンズとかの影響がロック化に色濃いのかもしれないが、根っこにそういう日本のフォークっぽいのがあって、しかしイジケてるわけでなくて、楽天的に破裂してる感じがとっても好きだ。
そういえば、会社に入ったあと、東京で府中からバスに乗ってどこかに行っている途中に「多摩蘭坂」っていうバス停があっていたく感動したこともある。カラオケで「あまーいシルをスー」って歌で周囲に苦笑されたこともある。まあ、いいよ、わかんないでもw。ちなみに、時系列がぐちゃぐちゃで申し訳ないが、『COVERS』に三浦友和とか高井麻巳子とか参加してたのは、当時としても面白い取り合わせだったように思う。三浦友和が「しみったれたムードに飛び蹴りくらわすっ」(合ってるかな?)とか歌ってるのは、そうかぁ、三浦友和でもそういう気分になるのかぁなんて思ったりした。
いや、清志郎はやはり日本のロッカーとしては別格なのですよ。例の村上春樹の壁と卵の比喩でいえば、決して壁にならず、いつも無鉄砲な卵であり続けた人だと思う。RCの歌詞っていつも優しかったと思う。
空を引き裂いて 君がやってきて
ぼくらを救ってくれると言った
検屍官と市役所は
君が死んだなんていうのさ
明日 また 楽屋で会おう
新しいギターを見せてあげる
(「ヒッピーに捧ぐ」)